[読書の秋!秋の夜長にオススメ書籍] 第 10 回 いちばんやさしいPMBOKの本
朝夕はだいぶ寒くなってきましたね。寒いのは大嫌いなんですが、寒い季節の二度寝ってなんであんなに気持ちいいんでしょう。こんにちは、nakamura です。
さてさて読書の秋シリーズも遂に最終回。10 回目は『いちばんやさしいPMBOKの本』です。
みなさんは PMBOK という言葉、ご存知ですか?僕はこの本を手に取って初めて目にしました。正式名称は『 A Guide to the Project Management Body of Knowledge 』で、日本語にすると『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド』です。頭文字を取って PMBOK (ピンボック)と一般的には呼ばれているようです。アメリカの非営利団体である PMI (プロジェクトマネジメント協会)から発行されている書籍の名称で、一言で言うなら、プロジェクトマネジメントというものに関しての知識体系を可能な限り普遍的な形で文書化した書籍、といった所でしょうか。
今回ご紹介する『いちばんやさしいPMBOKの本』はそんな PMBOK の実際の構成に沿いつつも、出来るだけ噛み砕いた言葉で解説していく、まさに表題通りの PMBOK 入門書籍です。目次は以下のような構成になっています。
目次
- Part1 PMBOKとは何か -ものごとを成功裏に成し遂げるための基礎知識
- Part2 第1部 プロジェクトマネジメント・フレームワーク -PMBOK第1章~第2章
第1章 序論
第2章 プロジェクト・ライフサイクルと組織 - Part3 第2部 単一プロジェクトのプロジェクトマネジメント標準 -PMBOK第3章
第3章 単一プロジェクトのプロジェクトマネジメント・プロセス - Part4 第3部 プロジェクトマネジメント知識エリア -PMBOK第4章~第12章
第4章 プロジェクト統合マネジメント
第5章 プロジェクト・スコープ・マネジメント
第6章 プロジェクト・タイム・マネジメント
第7章 プロジェクト・コスト・マネジメント
第8章 プロジェクト品質マネジメント
第9章 プロジェクト人的資源マネジメント
第10章 プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
第11章 プロジェクト・リスク・マネジメント
第12章 プロジェクト調達マネジメント - Appendix アーンド・バリュー法(EVT) -プロジェクトの進捗を金額で表現する
目次だけを見ると何のこっちゃ分かりませんね、、、業種等に依存しない普遍的な知識体系を作ろうとするとどうしてもこういう言葉になってしまうのでしょう。その辺りを噛み砕いて解説しているのが本書なのですが、正直に言ってしまうと今回一度読んだだけでは僕は 100% 理解する事は出来ませんでした。やはり PMBOK 自体に見慣れない言葉が多く、プロジェクトマネジメントを知識体系として捉える概念も馴染みの薄いものです。
ただ、読み進めていくうちに所々すごく共感できる箇所があったのも事実です。随所に共感できる分かりやすい文章があるお陰で、もう一度読み直せばもっと深く理解できそうだと僕は感じました。また同時に PMBOK に対して抱いていた堅苦しいイメージもなくなっていったように思います。
いくつか気になった文章を以下に引用します。『あるある!』と感じた方は一度何らかの形で PMBOK に触れてみるといいかもしれませんね。
計画からの逸脱が問題視されている場合に、その根本原因をさぐると、計画に十分な配慮と努力を許さない会社の公式、非公式の進め方や、計画についての理解がなかったり、情報収集に非協力的だったりする顧客の姿勢によってそもそも計画が不十分となっている事例をきわめて多く見かけます。
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こういった事例が一向になくならないのは、根底に減点主義があるからだと、筆者は考えています。
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結局、顧客側や母体組織のトップを含む、より上位のマネジメント層にプロジェクトマネジメントを本質的に理解している人がほとんどいないため、プロジェクト・マネジャーがその役割をまっとうできているほど、評価されないということが起こってきます。
うまくいっていないプロジェクトのプロジェクト・マネジャーは、意外と「プロジェクトの最終イメージを可能なかぎり明確にする」という努力を中途半端に終わらせてしまい、あいまいなイメージのまま、とにかく「手順を進める」ことで、何か仕事をしているという安心感を得ようとしているケースが多いようです。
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最終イメージを明確にできれば、それがずれた場合でも、「ずれいている」という事実をしっかりと識別できますし、そのずれの修正を計画に反映させることができます。
特に、最初の計画を作る際には、求められている納期とコストは考えないようにしてください。
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なぜなら、結果として得られた計画が、求められる期間やコストに対してどうなのか、入りきるのか、入りきらないのか、入りきらないとして、どれだけ入りきらないのかを把握する必要があるからです。
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もし、求められる期間やコストに入りきらないのであれば、それをいかにして求められる期間内、コスト内に収めるか工夫を凝らすのが、本当の計画活動です。これこそがプロジェクトで最も面白い活動の一つです。
日本のIT業界では、真面目にきちんと仕事をするよりも、ここに挙げたようないい加減な状態のほうが、逆に儲かってしまう場合が多いように思えます。
それはなぜなのかを考えてみると、真面目にきちんとなされた仕事をしっかりとアピールする役割を担う人がいないことに気がつきます。
まぁ総括すると、割と面白かったという事です!