ファインダビリティをハックせよ
僕がシーブレインという会社を見つけ入社するまでの話をすこし。
昨年の12月から2ヶ月弱職探しをしていて、何社か面接を受けさせてもらいましたが、1社を除いて他は全部Web上の求人サイトで見つけた会社でした。ハローワークも覗きましたが、結局求人サイトメインの活動になってしまいました。最初は都心やその近辺で探していたので、この会社よさそうだな、と思って勤務地を見たら横浜市って書いてあったのを見たときはさすがに応募しようか悩みましたが。求人を簡単に探せる便利な世界になりましたね。
このような世界ってのは、言い替えると、「求職者、求人サイト、求人者(求人を出す会社)のそれぞれが、求人情報のファインダビリティ(発見容易性)を向上させている」と言うことができると思います。
ちょっと解説を加えると、
- 求職者
- 従来の仕事の探し方に加えて、インターネットで探すことができるようになりました。また、求人サイトでも自由なキーワードで検索したり、年齢や福利厚生などで簡単に絞込みができるようになり、また、そういう使い方を覚えるようになりました。また、ブログなどを使って、自分を積極的に発見してもらうことで求人活動に役立てる人もでてきています
- 求人サイト
- 求人者から求人情報を集めて、求人者に提供したり、逆に求職者を求人者に紹介するサービス(スカウトなどと呼ばれたりする)を提供する仕組みを構築しています
- 求人者
- 自社サイトや求人サイトに求人情報を掲載することで発見してもらうことを容易にしようと努力していますし、求人情報に限らず、業務に関わる情報や関わらない情報を掲載することで会社を認知してもらおうとしています
といった感じです。求職市場の各主体やサービスが、ファインダビリティを向上させているということがイメージできたでしょうか?
僕がファインダビリティという言葉を知ったのはアンビエント・ファインダビリティという本を読んだからです。読んだのはもう半年以上前ですけど、これがなかなか面白かったんですね。ファインダビリティとは聞きなれない言葉でした。
この本には物、経路、Webサイト、情報をどうやって探し出してきたのか、テクノロジーによってどのようにそれが変わってきたのか、といった事例が沢山紹介されていています。
さて、僕はWebサイトを制作する株式会社シーブレインで働いているので、Webサイト制作に携わっているわけです。Webサイトは利用する可能性のある人に発見してもらわなければ、使ってもらうことができません。
Webサイトの価値を図る指標にユーザビリティ(使いやすさ)やアクセシビリティ(アクセスしやすさ)などがありますが、見つけてもらわなければ、このような要素は意味を成しません。URLの設計ひとつとってもファインダビリティに影響を与えます。
例えば、Webで本の名前を検索すると大体Amazonのページがヒットしますが、URLがいつのまにか変わったんですね。昔はisbnだけだったのが、本のタイトルと著者名がURL中にでてくるようになっていました。
例:Amazon.co.jp: アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅: 本: ピーター モービル,Peter Morville,浅野 紀予
昔のままでも、検索エンジンで上位にでていたのに、思い切ったことをしたな、という印象です。
日々の業務でURLを決定する立場にある自分もファインダビリティは他人事ではありません。しかし、ファインダビリティはユーザビリティなどに比べて軽視されてはいないでしょうか?検索エンジン対策もファインダビリティの改善手法ですが、ファインダビリティ改善=検索エンジン対策ではないはずです。
- アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅
- ピーター モービル Peter Morville 浅野 紀予
- オライリージャパン 2006-04
by G-Tools , 2007/05/11