オープンソースカンファレンス 2014 Tokyo/Spring で次世代の CMS について考えた
今月のファーストデイは『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』をみてきた kagata です。「ヒーローもの」「ジム・キャリーが出る」という情報に反応して、たいして下調べもせず鑑賞。とても満足したんですが、続編ものだってあとから気づきました。
さて、去る2月28日と3月1日の両日にわたって、東京都日野市の明星大学で「オープンソースカンファレンス 2014 Tokyo/Spring」が催されました。ファーストデイもとい3月1日、映画に行く前にいろいろ見てきたので本日はそのことについてご報告します。
オープンソースカンファレンスではハードウェア・ソフトウェア両面でとても幅広いテーマの出展やセミナーがあって、毎回目移りしてしまいます…というか、目移りしすぎて結局スルーしてばかりでした。が、今回はかねてより気になっていた CMS 製品のセミナーや出展が集中していたので、そのあたりを目当てに初参加してきました。
セミナー1時間め:2014年春版・WordPress の最新動向
まずは朝一番の WordPress セミナーへ。今や世界シェア61%を占めるというオープンソース CMS 業界の王(謎)。とりあえず見逃せません。
セミナーの内容は、 WordPress の基本的な紹介と WordPress コミュニティに関するお話が主でした。前者については WordPress ユーザーなら大体知っているであろうことがほとんどでした。 WordPress コミュニティの紹介に関連して、日本国内で今年予定されている WordCamp の日程が発表されていました。
WordCamp Tokyo は昨年に続いて PHP カンファレンスと同日開催のようですね。実行委員のブログではスタッフ募集が始まっています。
セミナー2時間め:CakePHP ベースの「コーポレートサイトにちょうどいい」国産 CMS 「baserCMS3」の活用方法
baserCMS は CakePHP ベースの国産 CMS。CakePHP ベースということで弊社の開発案件によくなじむんじゃないかと、かねてより気になっていました。
「コーポレートサイトにちょうどいい」
このキャッチコピー、以前から目にしてはいたのですが具体的にどのあたりがちょうどいいのか、セミナーで次のような特徴が紹介されていました。
- お問い合わせフォームを作成する機能がプリインストール
- モバイルに標準対応
- デフォルトテーマが日本の一般的なコーポレートサイトの体裁
たとえば WordPress でコーポレートサイトを作る場合、ブログの体裁をとるデフォルトテーマとはかなり違うテーマを作らないといけません。また、コーポレートサイトならほぼ確実に「お問い合わせ」という名前のメールフォームを用意することになりますが、そのために毎回 Contact Form 7 などメールフォームプラグインをインストールしてカスタマイズするのもめんどうといえばめんどうです。だったら最初からそうなってたらいいじゃないかというのは自然な発想だと思いますし、工数も減らせそうです。
CakePHP ベース
先述のとおり、baserCMS は CakePHP をベースに開発されています。しかも CakePHP 本体の機能がほぼそのまま生かされているということで、通常の CakePHP アプリケーションと同じ要領で機能を追加したり、baserCMS 専用のプラグインだけでなく既存の CakePHP プラグインを利用することもできるそうです。
このことで、次のような WordPress との棲み分けを考えているようです。
- 日本でよくあるコーポレートサイト案件(複雑度低)
… baserCMS ならインストール即コーポレートサイト! - カスタマイズをともなうコーポレートサイト案件(複雑度中)
… WordPress の豊富なプラグインとカスタマイズノウハウを駆使する - 高度な機能実装をともなうコーポレートサイト案件(複雑度高)
… CakePHP ベースの baserCMS ならプラグイン追加で対応しきれないようなマニアックなハックも可能!
特に3番め、マニアックな要件に WordPress でこたえようとすると「できることはできるけど、コードは複雑になるし工数もかかるし、べつに WordPress じゃなくてもよかったんじゃ…」みたいなことになりがちな気がしています。その点、 baserCMS は有力な選択肢になるのかもしれません。
セミナー3時間め:concrete5 ではじめる CMS
concrete5 はアメリカ発祥の CMS 。自分の周りでちょっとはやってたり、先日ついに日本初の concrete5 解説書が出たりして、 WordPress の次にブレイクするのはこの子なんじゃないかなとぼんやり思っています。
セミナーでは次のような特徴が紹介されていました。
- フロント画面を直接編集できる
- コンテンツはサイトマップ形式で管理
- テーマやアドオンは公式マーケットプレイスで提供。無償配布だけでなく販売もできる!
- バージョン管理機能を標準搭載
- キャッシュ機能を標準搭載。管理画面からキャッシュクリアできる
- メタ情報管理。SEO にも効果的
なんといっても最大の特徴はフロント画面の直接編集機能だと思います。といってもなかなか伝わらないと思うので、動画デモをご覧になったり、実際に手もとにインストールしてみることをおすすめします!最初に見たときはびっくりした!
そして、公式マーケットプレイスにも注目です。WordPress 公式プラグインディレクトリや WordPress 公式テーマディレクトリで自作のプラグインやテーマを配布する際は無償提供が前提でした。有償販売したいなら勝手サイトを立ち上げる方法もありますが、そうすると管理画面から検索・インストールやアップデートができなかったり、特にテーマに関しては厳しく審査される公式ディレクトリと比べて信頼性に劣るという難点がありました。
公式マーケットプレイスで自作テーマやプラグインを販売して収入を得ることができるとなれば、サードパーティーの開発意欲も高まりそうです。これまで無償が当たり前だったということで抵抗感を持つユーザーも出てくるかもしれませんが、今後の動きに期待しています。
ちなみに、先述の baserCMS でも同様にプラグインのマーケットプレイスを提供する予定のようです。どこかで2014年2月公開ときいていたんですが…ちょっと遅れてる?
大胆(でもない)予想
ということで、次のオープンソース CMS のトレンドはこれだッ!
- WordPress は今年も国内コミュニティの動きが活発で衰え知らず。東西の WordCamp は見逃せない!
- ブログツールをハックしてなんでもやる時代から、必要な機能をパッケージした CMS を選ぶ時代へ
- プラグインやテーマの有償販売に対応した公式マーケットプレイスに注目。今後のトレンドになるか?