builderscon tokyo 2018 できいたセッションの感想など #builderscon

builderscon tokyo 2018 できいたセッションの感想など #builderscon

先週末は[世界を変えた書物]展に出かけてきた kagata です。目の前に本があるのにページをめくって好きな箇所を読めない、というのはなかなかじれったいものですね。まあ本にさわれたところで、今度はラテン語やギリシャ語が読めない、という別の壁にぶつかってしまうのですが。

さて今回は、その前の週末に行ってきた builderscon tokyo 2018 できいたセッションとその感想です。

builderscon とは

buildersconではトークに関して技術的な制約はありません。特定のプログラミング言語や技術スタックによるくくりも設けません。 必要なのは技術者達に刺激を与えワクワクさせてくれるアイデアのみです。

公式サイトにあるとおり、特定の技術にフォーカスしないテック系カンファレンスです。わたしは今回が初参加でした。

前夜祭

「前夜祭」ということばの響きから、「本編前の懇親会みたいな、みんなで飲み食いして楽しく過ごす集い」を勝手に想像していたのですが、いざ会場に着いてみたら椅子がきちんと並べられていて、ああもうこれは本番が始まっているんだ、とそのとき悟りました。メモとり用の PC を持っていけばよかった。

プログラムは次のとおり:

なんといっても、Akerun の中の人による「IoT 開発の闇」のお話がよかったですね。オフレコ話とのことで、おいそれと共有できないのが残念です。弊社も Akerun ユーザーだったりするのですが、なんというか今後は毎回鍵を開ける前に手を合わせないといけない気がしてきました。

day 1

Electron によるアプリケーション開発事情2018

Electron で Mastodon クライアントを開発した方の体験談。Electron も Mastodon もよさそうでいて不思議とブレイクしない雰囲気があるように思っていたのですが、それぞれにちゃんと発展を続けているようです。

開発現場で役立たせるための設計原則とパターン(に行きたかった)

聴講したかったのですが、満席で入れず。

ほかのセッションに入ってもよかったのですが、結局この時間は外でぼんやりしていました。そのうち Youtube で動画が公開されるようなので、それを気長に待ちます。

カクヨムでの縦組み表示の実装と、縦書きWebの将来に向けて

CSS で縦組みスタイルを実装する話、というのは実は半分で、後半は各種ブラウザベンダーにバグ報告をする話、という意外な展開。頭が下がります、と言っている場合ではないですね。ブラウザのバグを報告するのは Web コンテンツ制作者のつとめ。

実録!ある担当者がみた「謎ガジェット」開発1年史

builderscon tokyo 2018 の「サポーター」特典の開発記録。スピーカー投票第2位。

基本的に手先が不器用な自分は常々ハードウェア畑の人たちを尊敬のまなざしで遠くから見つめるばかりだったのですが、Raspberry Pi での実践例を見ると「Linux が動くんだ…じゃあぼくにもできるだろうか…」とか思いつつ、種々の苦労話に触れてまたびびってしまったり、揺れ動いています。

JavaCardの世界

目当てのセッションがまた満席だったので、代わりに…と入ったセッションがスピーカー投票第1位でした。結果的についてたのかもしれない。

SIM カードやクレジットカードの中で動いている特殊な Java のお話でした。こういうのを覚えたら謎ガジェットづくりにも役立つのかな…とわくわくして聴いていたのですが、結局個人ではカードに書き込みができないというオチで夢が壊れました。

そんなわけで当分は仕事にも趣味にも生かせそうにない話ではあるのですが、そんなトピックにもおもしろい話はあるわけで、そういうものに目を向けてこそ「知らなかった、を聞く」をうたう builderscon なんだろうと思います。贅沢な時間でした。

ブロックチェーン(DApp)で作る世界を変える分散型ゲームの世界

昨今は仮想通貨での応用が盛んなブロックチェーンの技術をゲームに応用する話。ブロックチェーンゲームというのは初耳だったのですが、すでにいくつもサービスが立ち上がっているそうです。

テスト用のイーサリアムを発行してテストプレイ?する手順を教わったのですが、わたしの手元ではエラーが出て挫折しました。残念。

day 2

「Web とは何か?」 - あるいは「Web を Web たらしめるものは何か?」

際限なく拡張していく Web 標準仕様の歴史のお話。

HTML で文書を構造化するのが楽しくてこの業界に入ってきた自分にとって、昨今の Web 標準は複雑すぎるというかまさに「そんなことまで Web でやる必要あるんだっけ?」との思いをずっと持っていたのですが、歴史を絡めた今回のお話をきいて「まあそうなるわな」みたいな諦めの境地に達しました(?)。

せっかくできることが増えているんだから、コンテンツプロバイダーとしても実装しない手はないですね。デバイスアクセスこわくない。

すべてが gem になる - サービス密結合からの段階的脱却

わかるわぁ…密結合つらいですよね…。

早すぎる最適化を避けた結果として今がある、という現実を受け入れて、しかも現状に見合うような改善を続けていく…という姿勢は見習わないといけないなと思いました。個々のプラクティスは Ruby というか Rails に固有の問題もあるのかな?という気がしましたが、原理原則は PHP 業界(?)でも変わらないというか。

遠いようで身近なサウンドエンジニアリング

サウンドエンジニアリング(レコーディング~ミキシング~マスタリング)の概論的なお話。音楽好きとして興味深く聴きました。次はソフトウェアの実装のお話をお願いしたい。

ところで、途中に出てくる「対象を正確に認知していなければエンジニアリングはできない」っていいことばだなーと思ったのですが、何か元ネタがあるんでしょうか。

業務時間で書いたパッチは誰のもの? OSS 活動にまつわる罠

サイボウズのオープンソースソフトウェアポリシーとその制定の経緯にまつわるお話。

OSS へ提供するパッチを業務時間中に書いたら、それは職務著作なので著作権は会社に帰属する…なんて知りませんでした。何の気兼ねもなく業務時間中におくったあのプルリクもそうなるのか…。

Building Self-Hosted Kubernetes

Kubernetes を Kubernetes で管理するお話。

コンテナまわりの技術はほんとうに花盛りですが、個人的には Docker をちょっと触ったくらいでこの分野の勉強がおろそかです。社内で誰か、このへんに強い人が出てきてくれたらいいな…。

HHVM/Hackで得る問題解決力

PHPer が Hack に触れて新たな刺激を得るお話。

PHP のゆるいコードに日々イライラしていると「堅い言語」へのあこがれ(?)が募ってきたりするのですが、Hack はちょっと二の足を踏むというか、高級言語の顔をしてシレッと Segmentation Fault で落ちるのはちょっと勘弁してほしいな…とびびってしまう臆病者です。ただ、以前 Ruby on Rails チュートリアルをプレイしたときの経験からしても、折に触れて新しい言語を使ってみることで芸の幅を広げる、というのは効果的なことだと感じています。

LT とクロージング

最後までにぎやかなイベントでした。LT の中では PWA for Desktop の Next Editor が特に気になります。

まとめ

前夜祭と本編2日間フル参加でお腹いっぱいになりました。ただ、本編の昼間にあった「ランチセッション」には2日間とも参加せず。お弁当のために並ぶ元気がなくて、外でぐったりしていました。あと、スケジュールの都合で懇親会にも行けなかったのが若干心残りです。

最後の HHVM/Hack のお話にもあったとおり、普段使っているものとは少し違う技術に触れることで、新しい刺激やアイデアを得る、というのは大事なことです。その点、テーマの縛りがゆるい builderscon は視野を広げるのにぴったりなイベントだと感じました。

ただそういいつつ、イベントが終わってから振り返ってみると、やっぱり普段の業務に近いテーマのセッションばかり選んでしまいました。そういう意味では、今回の個人的ハイライトは業務にも趣味にもまったく使うことがなさそうな JavaCard の話をきいた場面だったかもしれません。次回参加するときは、タイトルを見て何を言っているのかさっぱりわからないようなセッションにこそ飛び込んでみようかな…とか思っています。

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