UX Days Tokyo主催「コンテキストの理解と実践」UXワークショップに参加してきました
こんにちは。
実は今年度に入ってから、UXの勉強を真面目にやってみようと思い至って、本やらブログやらを読んでいたsitoです。
2017年6月27日(火)に、「UXの基礎が学べる」ということで、UX Days Tokyo主催の、「コンテキストの理解と実践」UXワークショップに参加してきました。
今回は、このイベントの内容や、学んだことを以下の流れでご紹介していきます。
- 0:イベント概要
- 1:コンテキストとは
- 2:コンテキストを理解する、7つの切り口
- 3:モバイルユーザーの理解
- 4:コンテキストをデザインに取り入れる際の考え方
- 5:ストーリーテーリングから「タスク」と「コンテキスト」を見極める
- 6:ストーリーからサイトを評価する
- 7:UXの学び方
0:イベント概要
このイベントは、年に一度世界のUXのカンファレンスを行っている 「UX Days Tokyo」 UXDT2017のプロモーションイベントを兼ねたUXの基礎が学べるワークショップです。
デザイナー、エンジニア、ディレクター、マーケターなど様々な職種の方々が30名ほど参加していました。
登壇されたのは、UX DAYS TOKYOの大本 あかねさんと、UX Days Tokyoスタッフの疋田 和大さん。
約2時間の座学とグループワークを通して、以下のゴールを目指す内容となっていました。
「UXの鑑定士になる」
- コンテキストを理解
- UX(コンテキストを含む)を考慮したサイトかどうかを見分ける視点を身につける
- UXを取り入れたデザインの考え方を学ぶ
1:コンテキストとは
先ほどから「コンテキスト」と、当たり前のように書いていますが、まず「コンテキスト」とはなんなのか。
直訳すると「文脈」ですが、「状況」や「環境」という意味で捉えます。
そして、UXを設計するには、
UX(ユーザー体験)=「ユーザーのタスク + コンテキスト」
と解釈すると考えやすいとのこと。
「タスク」は、ユーザーの「目的」、「コンテキスト」は上述の様に「状況」や「環境」です。
コンテキストとは「状況」や「環境」ということを頭に入れて、女性がスマホの画面を見ながら街を歩いている写真を例に、一人ひとりが、「コンテキストはなにか」を考えました。
- スマホ(小さい画面)を見ている
- 片手で操作している
- 歩いている
- 街中である
- 晴れている
などをコンテキストとして読み取ることができました。
- メールを送っている
- WEBサイトを見ている
等の意見も挙げられましたが、「本当にそうなのか」を写真からは判断できませんでした。
コンテキストにはこのような「想像」は含まない方がよいということです。
2:コンテキストを理解する、7つの切り口
次に、Cennydd Bowlesさんの連載「コンテキストを理解する」の記事で紹介されていた7つの切り口を、グループごとに読み、要点を共有しました。
- 切り口-1: デバイス
- 切り口-2: 環境
- 切り口-3: 時間
- 切り口-4: 行動
- 切り口-5: パーソナル
- 切り口-6: 場所
- 切り口-7: ソーシャル
3:モバイルユーザーの理解
仕事や普段の生活で実感していることでもありますが、モバイルの誕生でパソコン時代とは大きくコンテキストが変わり、UXの設計にモバイルユーザーの理解は必要不可欠なものとなっています。 以下のようなデータが紹介されました。
- 起きてから15分以内に携帯電話をチェックする人…68%
- 携帯電話を昼夜とわずそばに置く…87%
- 携帯電話を1日にチェックする回数…150回
またトラフィックは増えているけれど、セッション時間は短くなっているとのこと。
つまり、モバイルユーザーは、その環境においてすぐに答えが得られることを望んでいるという特徴があるのです。
確かに普段の生活の中でも、駅で時刻表や乗り換え案内を見たいときや、お店の営業時間を知りたいときなんかに、すぐに答えにたどり着けないとイライラしてしまいますよね。
そんなモバイルユーザーのニーズを満たすために、Googleが意識しているという3つのポイントが紹介されました。
- Be There…ユーザーが必要なときにソリューションとしてあること。
- Be Useful…ユーザーのニーズを理解しユーザーが使いやすいこと。
- Be Quick…モバイルでのユーザーのストレスを減らし、早く目的を達成できること。
4:コンテキストをデザインに取り入れる際の考え方
ここまでで、「コンテキストっていろいろな切り口があるし、全部考慮するのは大変そう」と思っていました。
しかし、
- 必ずしも常に全てのコンテキストが重要になるわけではなく、コンテキストがユーザーの行動に特別影響しなけければ優先度も高くはない。
- 調査やテストを通じて、どのコンテキストの要素を使うか選択してデザインに取り入れる必要がある。
- また、状況が変われば、突然別のコンテキストが重要になることもある。
と説明されました。
コンテキストは、「無くてはならないものだけれど、それだけでもだめなもの」、「パスタを茹でる時の塩のようなものです」とのこと。
本当に必要なコンテキストはなんのか、固定概念にとらわれず、調査や分析が重要になってきそうです。
5:ストーリーテーリングから「タスク」と「コンテキスト」を見極める
「43歳男性(岩手県の実家住まい)の家族旅行」のストーリーから、「タスク」と「コンテキスト」は何かを考えました。
- 8月13日から14日までの1泊2日で、隣の宮城県へ温泉旅行
- 両親(大人2人)、自分の家族(大人2人/小学生2人)、弟夫婦(大人2人/幼稚園児1人)の3家族
- 車3台
- 3家族で別々の部屋をとりたいが、予約はまとめてしたい
- 父親が車椅子なので、部屋風呂or貸し切り風呂希望で、施設はバリアフリーだと嬉しい
- 7月上旬の土日休みに自宅のタブレットでWEBサイトを見て回っている
コンテキストとしてあげられるのは、「自宅で」「タブレットで」「土日休みに」「7月上旬」。 タスクは「目的(それ以外の条件)」。
さらに深読みしていくと「面倒、早く済ませたい、焦り」といった心理や、「3家族まとめて予約する」という要件にもたどり着くことができると解説されて、なるほどなと思いました。
コンテキストから心理状況まで深読みすることで、よりユーザーを理解することができますね。
6:ストーリーからサイトを評価する
以上を踏まえ、この男性になりきって、実際に旅行サイトで温泉宿を探してみました。
知っている旅行サイトに行って宿泊日から探したり、「宮城」「温泉」でキーワード検索したりと、探し方も人によってそれぞれ違いました。
私は知っている旅行サイトに行って、条件を入力して探そうとしましたが、まず今回の要件の「人数がバラバラの3家族(3部屋)を、まとめて予約できる」サイトがなかなかない!
その条件設定ができるサイトでも、バリアフリー施設かどうかがわからなかったり、比較検討がしづらかったったり、私の他にも思うように探せない参加者の方が多かったように思います。
逆に、思い通りに希望の宿が見つかれば、次もまたこのサイトを使おうという気持ちになりますね。
ストーリーに沿ってサイトを使ってみると、サイトの良い点や問題点が具体的に見えてきました。
7:UXの学び方
最後にUXの学び方について、書籍だけではだめで、料理やスポーツのように、ポイントをコーチから教えてもらいながら、実践を通じて学んでいくのが良いとアドバイスがありました。
また、今日はUXの基礎視点を理解したに過ぎず、止まらずに学び続けていくと、今後必ず「アハ体験」するときがくる、それが重要!とのこと。
その感覚が得られるように、今後も精進していこうと思います。